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札幌地方裁判所 昭和60年(わ)1608号 判決

本店所在地

札幌市豊平区豊平三条九丁目二番六号

法人の名称

株式会社 円美堂

代表者の住居

札幌市白石区菊水元町七条四丁目三番一〇号

(登記簿上 同区同町七条四丁目四〇番地八)

代表者の氏名

塩原廣志

本籍

長野県塩尻市大字宗賀二九一七番地

住居

札幌市白石区菊水元町七条四丁目三番一〇号

会社役員

塩原廣志

昭和二四年五月二四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官北原一夫出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社円美堂を罰金八〇〇万円に、被告人塩原廣志を懲役一〇月にそれぞれ処する。

被告人塩原廣志に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社円美堂(以下、被告人会社という。)は、札幌市豊平区豊平三条九丁目二番六号に本店を置き、印鑑、絵画等の訪問販売業を主たる目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人塩原廣志は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人塩原は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外する方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五六年一〇月一日から昭和五七年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三二六八万九六九九円であったのにかかわらず、同年一一月三〇日、札幌市豊平区月寒東一条五丁目三番四号所在の所轄札幌南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二六万九一九四円であり、これに対する法人税額が五四万三〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和六一年押第六五号の1のうち右事業年度分の確定申告書)を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一二六三万一七〇〇円と右申告税額との差額一二〇八万八七〇〇円を免れ、

第二  昭和五七年一〇月一日から昭和五八年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三七二四万八三二六円であったのにかかわらず、同年一一月三〇日、前記札幌南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一八三〇万八九六七円であり、これに対する法人税額が六四八万二二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の1のうち右事業年度分の確定申告書)を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一四四三万七〇〇〇円と右申告税額との差額七九五万四八〇〇円を免れ、

第三  昭和五八年一〇月一日から昭和五九年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四六三六万二七〇四円であったのにかかわらず、同年一一月三〇日、前記札幌南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七七三万九三五七円であり、これに対する法人税額が六三八万二五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の1のうち右事業年度分の確定申告書)を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一八七七万六二〇〇円と右申告税額との差額一二三九万三七〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人会社代表者・被告人塩原廣志の当公判廷における供述

一  第一回公判調書中の被告人会社代表者・被告人塩原廣志の供述部分

一  被告人会社代表者・被告人塩原廣志の検察官に対する供述調書及び大蔵事務宮に対する質問てん末書九通

一  被告人会社代表者・被告人塩原廣志作成の上申書三通

一  佐藤裕子の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する質問てん末書四通

一  新田一雄の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の告発書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、商品仕入高調査書、販売手数料調査書、販売員給与調査書、旅費交通費調査書、発送配達費調査書、車両経費調査書、事務員給与調査書、地代家賃調査書、事務用消耗品費調査書、通信費・電話料調査書、租税公課調査書、接待交際費調査書、福利厚生費調査書、賃借料調査書、雑費調査書、受取利息配当金調査書、雑収入調査書、貸倒損失調査書、雑損失調査書、価格変動準備金戻入益調査書、交際費等の損金不算入額調査書、事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  株式会社円美堂の登記簿謄本二通

一  大蔵事務官作成の検査てん末書及び領置てん末書

一  押収してある法人税決議書一綴(昭和六一年押第六五号の1)

(法令の適用)

被告人塩原廣志の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情伏により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

次に、被告人塩原廣志の判示各所為はいずれも被告人会社の代表者としてその業務に関してなされたものであるから、被告人会社については、法人税法一六四条一項により、判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人会社を罰金八〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 嶋原文雄)

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